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◆伊万里に見る不思議  第二回

前回のブログで、古伊万里の絵皿に不思議な玉があったと紹介しました。

分からず終いで終わるのかと思いきや、本人もビックリの3例目が見つかったので検証したいと思います。まさかこの内容のテーマで続くとは思いませんでした。

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我が家では天神様(菅原道真公)をお祭りしております。学問の神様なので、当店のお客様でご存知の方は、お子さんやお孫さんが受験シーズンになると、皆さまでお参りにこられる人も少なくありません。
 
 
愛知県にも有名な天神社はありますが、そこを知っていても紅葉屋にお参りに来るので、

「良いのですか?うちで」

と尋ねると

「ここは姿を見て、間近でお参り出来るので効きそうな気がする」

と言う事です。

「合格できた!」

とお礼参りに来る方もいらっしゃいます。



さて、画像の古伊万里ですが、これは赤絵の御神酒徳利(おみきとっくり)と呼ばれているものです。天神様にお供えしております。その名の通り、人間が酒を飲むときに用いる徳利ではなく、神様にお供えする際の徳利です。
 
 

最近、この徳利の裏面にも、前回ブログにて紹介した「亀」と「恵比寿」の古伊万里皿にあった、「玉」のようなものがあると知りました。

IMG_5008.jpg


これがその徳利の裏面です。表面はというとこうなっています。

IMG_5005.jpg

幔幕に桜の画があります。

こういうものは何となく画かれたものではありません。


現代人にとっては「花と幕」位にしか思えないですが、この古伊万里が作られた江戸時代の人達は、この画を見れば直ぐにこの徳利が何かを理解出来たのです。


昔から日本人に馴染みのあった花と言えば、桜と梅です。

梅に関係する神様、梅と言えばこの神様を連想すると言えば、前述の天神様、菅原道真公です。


この徳利に画かれた花が梅であれば、天神様を表す、又は天神様に供えた徳利と言うことです。


しかし、桜であればそれは「八幡太郎義家」を指します。本名は源義家で子孫に源頼朝がいます。

八幡宮で元服をしたので八幡太郎義家と呼ばれたそうです。武勇誉れ高い神格化された武将でもあります。


この御神酒徳利が桜だとすると、八幡神に供えられた徳利の可能性もあります。


何れにせよ、神様に供える徳利が御神酒徳利ですから、幔幕に桜(梅)の画は八幡神(又は天神様)を表します。

そして真後ろに謎の石です。観察するにこれは玉と言うより石のようです。

IMG_5009.jpg


神社の御神体と言うのは、お寺の仏像と違い、まず一般人がその姿を見れることはありません。

神道の考え方では、神の姿を見てはならないと言われるからです。

しかし、神社によっては調査もあり、御神体の姿が確認出来ているものもあります。

古い歴史のある神社や、大きな神社には神像や剣や鏡が御神体になっています。

色々なパターンがある神社の御神体ですが、中には石そのものが御神体になっていることもあります。


例えば名古屋市名東区に、「猪子石」と呼ばれる不思議な塚(?)がありますが、雄石と雌石と呼ばれるものが存在します。

二つの石はそれぞれ離れた位置にあり、石はむき出しで屋根もない状態で祀られていました。

雄石は触ると罰が当たり、雌石は触ると子宝が授かると言われているものです。あの石は神が宿る御神体として地域の人に守られていました。


神道は自然そのものが、自然のあちこちに神が宿るとされてきました。山や海、川や湖、森や木、あらゆるものに神は宿るのです。

そして人によって建てられた神社の御神体は、この石そのものを祀ることもあるのです。


そう解釈した時、この御神酒徳利の石は、神が宿る御神体が依る「依り代」を表しているのだと思いました。

御神体ゆえにその上には幔幕があるのです。


今回はこの辺で終わりたいと思います。



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◆伊万里に見る不思議。

今回は古伊万里についてのお話です。

専門的な細かい話は他に任せますが、気になったことがありました。

画像は江戸後期、志田窯と呼ばれる窯の古伊万里です。

亀の伊万里


志田窯はこのような吉祥の文様や、変わった図柄が多いです。

個人的には綺麗に画かれた細かい模様の古伊万里よりも、志田窯のような伸びやかで勢いのある線の画の方が好みです。

また、面白い絵の方が尚楽しいですね。


画像のものは亀に太陽という珍しい絵になっています。垂直に頭を立てているのも面白いですが、何より顔が良い。生きています。
 
 
ついつい見とれてしまいますが、この亀の古伊万里、足元に妙なものがありました。

亀の伊万里部分


・・・玉です。

観察するに、玉は水の中にあるようです。これが海なのか、それとも川なのかはこれだけでは分かりませんが、おそらく海かと思います。
 
 
古伊万里の絵皿はそれなりに勉強したり、実物をいくつも見てきましたが、水の中に玉があるのは記憶にありません。
 

「一体何だ?これは?」
 
 
と思った翌年、似たようなものが画かれた古伊万里の皿を見ました。
 
 
恵比寿伊万里①
 

恵比寿の古伊万里です。
 
 
恵比寿様は大黒様と対で祀られることが多い神さまです。大黒様は小槌を、恵比寿様は竿と鯛を手にしています。

この古伊万里は、恵比寿様が鯛を釣った瞬間のものです。

嬉しくて小躍りしているかのような恵比寿様。

対して「しまった!」と言っているかのような鯛の顔が秀逸です。

恵比寿伊万里②

見ていて楽しい一枚ですが、よく見たらこれにもあの謎の玉がありました。

恵比寿伊万里部分

亀の古伊万里でこれを発見した時は、呉須(ごす:藍色を出す鉱物)が垂れたのをごまかしたのかも?と考えましたが、二例目が出たと言う事は、あの玉は故意に画いたと言うことになります。
 
 
亀と恵比寿。違うものですがどちらも縁起が良いことと、玉が画かれたのは水の中という共通項があります。

恵比寿の場合は鯛を釣っているので完全に下は海です。
 
 
亀では海か川なのかはハッキリしませんでしたが、恵比寿の皿が出てきたことで玉は海水の中にあるということが分かりました。

海の中にある玉と言えば、古事記に出てくる海幸山幸の神話にある、海の潮の満ち引きを自在に操るという「塩満珠・塩乾珠」が筆頭として浮かびました。
 
 
この二枚の絵柄を観察するに、どちらも玉は画かなくても良い作品です。なくとも成立しています。

私は過去にこの皿とは違う、古伊万里の恵比寿と鯛の皿を見たことがありますが、それには足元に玉はありませんでした。
 
 
という事は恵比寿の図像に玉は必ずしも要らないということです。
 
 
この二枚の皿は同じ作者なのか?

それは自分が描いたというサインなのか?

あるいは何かしらの意味があるのか?

それとも誰かの注文で謎の玉を描いたのか?


考えれば考えるほど不思議です。
 

「不思議」という文字は「思っても議論してもいけない」と言う意味かと思います。

謎は謎のままそっとしておくのも良いかもしれません。



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◆兎の古伊万里皿

草木と兎が2羽描かれた古伊万里の小皿。

古伊万里兎皿1

菓子器に丁度いい大きさです。時代は江戸後期。この頃の古伊万里皿は絵の面白さにある。


古伊万里兎皿4

裏面。

古伊万里兎皿5

志田窯で焼かれたものか。

さっと引いた線にも勢いがあります。


古伊万里兎皿2


この古伊万里の皿の縁は珍しい造りになっています。

縄目のような跡があるのです。

古伊万里の皿は何度か見ましたが、こうなっているのは初めてです。

この小皿。見所は何と言っても二羽の兎でしょう。草木に隠れるように岩の上に座っているのですが、じっくり観察してみると絵師がこの絵に込めた遊び心が見えてきました。

古伊万里兎皿3

手前に横向きの兎。そしてその奥に正面を向いた兎がいます。正面を向くというのも大変面白い構図で、目玉が飛び出ているようです。

これだけでも秀逸ですが、よくよく見ていると後ろの兎は手前の兎のお尻の匂いを嗅いでいるようです。

そう思うと、匂いを嗅がれている兎は、耳が下に垂れており、前後の足も緊張しているのか不自然に揃っています。

敵の気配を感じ草木に隠れているのに、後ろの兎はお構いなしに匂いを嗅いでいるという構図に見えてきました。

手前が雌、奥が雄かもしれないですね。「もうやめて!」と言う声が聞こえてきそうです。


こういう物は、読み手の想像力によって楽しめるものかと思います。


昨今は「Me Too・・・」運動が世界的になっていますが、日本でも問題が連日起こっています。

「禁忌(タブー)の茶会」というのをもしやるのなら、これ意外に重宝するお道具になるやもしれません。(どんな茶会?)



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◆肘掛の直し

推定江戸時代の古い肘掛。

専用の木箱に入っていました。この箱も古い物です。

今回は、この古い肘掛を使えるようにしたいと依頼を受けました。

時代劇でしか見たことなかったので興味津々です。


肘掛1

見たところ、木製漆塗の部分は何ともありません。時代を考えれば良いコンディションです。

しかし、肘を乗せる部分の裂地は劣化が激しいです。

肘掛2

飾りとしての置物ならともかく、使うとなれば張り替えるしかないです。

この当時は中の綿を最初に和紙で包んでいたようです。

中まで裂地を使うのはもったいなかったのでしょう。


肘掛5

裂地は正絹(絹100%)の名物裂を使用しました。色や柄はお任せだったので、オリジナルの裂地を意識しながら格調あるものを探しました。龍文をあしらった宗悟緞子系の名物裂です。

肘掛3

こちらが完成したもの。

肘掛4

綺麗に張り替えられています。実際のものはもう少し濃い色です。


肘掛6


剥がされた元の古裂。これはこれで取っておかれても良いでしょう。

当店ではこんなことも承っております。

見積無料です。


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◆漆器の修理

推定琉球の漆器。時代は分かりませんが古いものです。

琉球花台修復前1

お客様から、剥がれそうな漆の箇所を直して欲しいとの依頼。

琉球花台修理前2

更に拡大すると・・・

琉球花台修理前3

触るとボロボロと剥がれてきます。ここ以外はそれほど傷んでいません。

琉球花台修理前4

足元の台部分は、四方とも草と花をあしらった柄になっています。上の画像は剥がれた箇所の反対側になります。

この場合の修理は一度綺麗に剥がしてから漆を塗り、元の絵を真似て描きます。

琉球花台1

こちらが修理後のもの。

琉球花台5

拡大します。

直し方としては古色仕上げにしました。元々の古い色に合わせて仕上げます。

琉球花台3

琉球花台4

修理前は角の花模様も落剝していましたが、ぱっと見ただけでは殆ど分からない位になりました。

当店ではこんな注文も承ります。見積もり無料です。

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プロフィール

もみじ

Author:もみじ
名古屋市西区で着物屋を営んでいます。
主に着物(仕事)を通じた独り言です。

お着物のことなら何でもご相談下さいませ。

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