◆兎の古伊万里皿

草木と兎が2羽描かれた古伊万里の小皿。

古伊万里兎皿1

菓子器に丁度いい大きさです。時代は江戸後期。この頃の古伊万里皿は絵の面白さにある。


古伊万里兎皿4

裏面。

古伊万里兎皿5

志田窯で焼かれたものか。

さっと引いた線にも勢いがあります。


古伊万里兎皿2


この古伊万里の皿の縁は珍しい造りになっています。

縄目のような跡があるのです。

古伊万里の皿は何度か見ましたが、こうなっているのは初めてです。

この小皿。見所は何と言っても二羽の兎でしょう。草木に隠れるように岩の上に座っているのですが、じっくり観察してみると絵師がこの絵に込めた遊び心が見えてきました。

古伊万里兎皿3

手前に横向きの兎。そしてその奥に正面を向いた兎がいます。正面を向くというのも大変面白い構図で、目玉が飛び出ているようです。

これだけでも秀逸ですが、よくよく見ていると後ろの兎は手前の兎のお尻の匂いを嗅いでいるようです。

そう思うと、匂いを嗅がれている兎は、耳が下に垂れており、前後の足も緊張しているのか不自然に揃っています。

敵の気配を感じ草木に隠れているのに、後ろの兎はお構いなしに匂いを嗅いでいるという構図に見えてきました。

手前が雌、奥が雄かもしれないですね。「もうやめて!」と言う声が聞こえてきそうです。


こういう物は、読み手の想像力によって楽しめるものかと思います。


昨今は「Me Too・・・」運動が世界的になっていますが、日本でも問題が連日起こっています。

「禁忌(タブー)の茶会」というのをもしやるのなら、これ意外に重宝するお道具になるやもしれません。(どんな茶会?)



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◆肘掛の直し

推定江戸時代の古い肘掛。

専用の木箱に入っていました。この箱も古い物です。

今回は、この古い肘掛を使えるようにしたいと依頼を受けました。

時代劇でしか見たことなかったので興味津々です。


肘掛1

見たところ、木製漆塗の部分は何ともありません。時代を考えれば良いコンディションです。

しかし、肘を乗せる部分の裂地は劣化が激しいです。

肘掛2

飾りとしての置物ならともかく、使うとなれば張り替えるしかないです。

この当時は中の綿を最初に和紙で包んでいたようです。

中まで裂地を使うのはもったいなかったのでしょう。


肘掛5

裂地は正絹(絹100%)の名物裂を使用しました。色や柄はお任せだったので、オリジナルの裂地を意識しながら格調あるものを探しました。龍文をあしらった宗悟緞子系の名物裂です。

肘掛3

こちらが完成したもの。

肘掛4

綺麗に張り替えられています。実際のものはもう少し濃い色です。


肘掛6


剥がされた元の古裂。これはこれで取っておかれても良いでしょう。

当店ではこんなことも承っております。

見積無料です。


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◆漆器の修理

推定琉球の漆器。時代は分かりませんが古いものです。

琉球花台修復前1

お客様から、剥がれそうな漆の箇所を直して欲しいとの依頼。

琉球花台修理前2

更に拡大すると・・・

琉球花台修理前3

触るとボロボロと剥がれてきます。ここ以外はそれほど傷んでいません。

琉球花台修理前4

足元の台部分は、四方とも草と花をあしらった柄になっています。上の画像は剥がれた箇所の反対側になります。

この場合の修理は一度綺麗に剥がしてから漆を塗り、元の絵を真似て描きます。

琉球花台1

こちらが修理後のもの。

琉球花台5

拡大します。

直し方としては古色仕上げにしました。元々の古い色に合わせて仕上げます。

琉球花台3

琉球花台4

修理前は角の花模様も落剝していましたが、ぱっと見ただけでは殆ど分からない位になりました。

当店ではこんな注文も承ります。見積もり無料です。

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◆切支丹伊万里 2

今回は古美術の話です。

伝切支丹の古伊万里と云われる小鉢。

5個揃いです。

十字伊万里①

面白いのは何やら下の方から勢いよく飛び立っている十字架でしょう。
 

よーく十字架部分を見ると 嘴らしきものが見えるので鳥ともとれます。

しかし、これはあえて発覚した時に「鳥です」と説明するために、僅かに「嘴」のようなものが描かれたと思います。


この過去ブログにも一度切支丹伊万里を取り上げました。(こちらを参照)

十字架以外に着目しますと、大変不思議な文様になっています。

左右に分かれた花。

花の生えている所には穴の開いた岩。


初めて見た時は意味不明でしたが、これは以前取り上げたブログ、「切支丹伊万里」の意味が判明したおかげで理解できました。

十字伊万里④

この柄は「蟹牡丹」の変形だったのです。

穴の空いた石は「太湖石(たいこせき)」の変化した形で、蟹の体を表し、左右の花は蟹の腕を表しているのです。

蟹さん

十字架が飛び立っている様子は、蟹が海底から十字架を拾い上げたのです。

「フランシスコザビエルが帰国の際、誤って海に十字架を落とし、それを蟹が見つけて拾い上げた・・・」

この伊万里も、その話を基本に作られていたのです。

十字伊万里③

横には海老(?)の絵もありました。

この海老は切支丹の何かを指しているのか、あるいは古伊万里が真似た中国染付(青花)の中から学んだ柄かは分かりません。

海老が川海老だとしたら、中国染付由来の柄の可能性が高くなります。


十字伊万里②

高台は蛇の目高台です。中心の模様はよく分かりません。

伊万里には呉須とよばれる鉱石(青色のもと)が使われますが、かなり濃く使われていることから、それなりにお金を掛けて作られているような気もします。
 
 
意味不明と思われる柄でも、それにはそうなった意味があるのです。



おしまい。


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◆切支丹伊万里

一時とても流行っていた古伊万里。江戸期に有田で作られたと云う染付磁器です。

古伊万里については色々と紹介しているものもあるので、今回紅葉屋のブログで紹介するのは、珍しい切支丹の伝説が残る古伊万里皿です。

このお皿、洗礼の儀式に使われていたとの昔話が残っております。

蟹牡丹伊万里


古伊万里というのは、日常で使われていた雑器ですので、数を作りました。

故に画かれた絵も時間をあまりかけない、勢いのある職人の手慣れ感がありそこが魅力でもあります。

今日目にするものは、よくよく見れば細かな傷が見て取れます。これは使っていたからです。


しかし、画像の切支丹伊万里は擦れ・傷が皆無です。また絵も大変丁寧に画かれています。

お皿の縁も円ではなく、花のような切れ込みも施されています。


そこだけ見ても時間を掛けて作られた一枚だと思います。この絵は牡丹です。ではなぜこの牡丹が切支丹と関係があるのでしょうか?


まずこの花の部分に着目します。実はこの花の中には生き物が隠れているのです。お判りでしょうか?

蟹牡丹伊万里8


じーーっと眺めていると何かに気付かれないでしょうか?

蟹さん

そう、蟹なのです。牡丹の花全体が、蟹の姿になっているのです。これを「蟹牡丹」と言います。

着物に入れる家紋にも蟹牡丹はありますので、特に珍しいという文様でもありません。

では何故これが切支丹伊万里なのか?

それでは次に下の方に目を移してみましょう。

蟹牡丹伊万里6

この部分と・・・

蟹牡丹伊万里7

この部分に着目します。

この珊瑚のような、生姜のような柄は太湖石と呼ばれる岩の絵です。

蟹牡丹と太湖石という組み合わせは、ちょっと記憶にないほど珍しい組み合わせです。

この太湖石の文様は、主に中国の明・清代に造られた陶磁器にもよく目にします。穴の開いた石です。

しかし、この切支丹伊万里の太湖石は、よーく見ると穴の中に変わったものが画かれています。


それは「波」です。本来画かれることのない、小さな小さな波の模様が太湖石の穴の中に画かれているのです。

これはつまり、海から現れた蟹を表しているのです。


海から浮上する蟹・・・実はこれに因む昔話があります。日本に布教に訪れた聖人「フランシスコ・ザビエル」です。

ザビエル

ザビエルは日本で布教活動を行い、やがてインドへ向かう為、日本を後にします。

舟は暴風雨に会い、転覆しそうになりますがザビエルは十字架を海へ投げ祈りを捧げると暴風雨は治まり目的地に着くことが出来た。その後、海に落ちた十字架は何と蟹が見つけてザビエルに届けたというものです。


そう、この絵柄は分かる人にしか分からない、ザビエルの奇跡を主題としているのです。

ただ、十字架は画かれていません。それは隠れ切支丹にとって十字の印が見つかることは命に関わるからです。


表には無い十字架ですが、実はこの皿、更に十字架が隠されていました。

皿をひっくり返してみます。

蟹牡丹伊万里2

皿の中央には「角福」と呼ばれる染付の印がありますが、注意すべきは目跡です。

蟹牡丹伊万里4

目跡とは陶磁器を焼く際、地面と直接触れないよう、火が満遍なく通るように、小さな石をかまして焼きますが、焼成後はその石を取ります。その跡が目跡です。

この伊万里、目跡が五つありますが、中央の大きめの目跡が十字になっているのです。

蟹牡丹伊万里3

丁度蟹のある部分にあるのです。通常、目跡が十字になっているのはまず無いと思います。敢えてこのようにしたのでしょう。

古伊万里は雑器であるので、大量に作られましたが、この蟹牡丹の伊万里は大変丁寧に作られています。

大量に作られた物の一つではないように思えるのです。

何らかの意図があり、作られた一枚なのでは・・・?

伝切支丹伊万里の蟹牡丹のお皿でした。







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プロフィール

もみじ

Author:もみじ
名古屋市西区で着物屋を営んでいます。
主に着物(仕事)を通じた独り言です。

お着物のことなら何でもご相談下さいませ。

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