◆鱗龍文浴衣 (男物)

男物の浴衣をご用命頂きました。ありがとうございます。

女性と比べると、どうしても種類では少なくなってしまう男物浴衣。

当店では予め出来上がっている浴衣もなくはないですが、反物を選んで頂いて仕立てる方をお勧めしています。

やはり、その人の寸法にあった物の方がしっくりくるからです。


小紋や浴衣は楽しんで選んでなんぼだと思いますが、そんな中でも紅葉屋の好み、紅葉屋の目線で美しい、力強いというものを浴衣でもご提案しています。
 

今回は、お客様が個性的な浴衣を探されていたので、お客様のご希望を聞きながら紅葉屋目線で浴衣を選ばさせて頂きました。

龍の浴衣③

黒地と言うか、濃紺と言うか、黒っぽい地色に渋い緑色の龍文の浴衣です。

只の龍文ではなく、三角形の龍です。三角が並んだ文様を鱗文と言いますが、これは厄除けを意味します。何の鱗と云われると諸説あるようですが私は蛇かと思います。
 

神道最大の謎と云われる御神器に十種神宝(とくさのかむたから)がありますが、その中に蛇比礼(おろちのひれ)というものがあります。古事記に登場する蛇比礼は大国主命が群がる毒蛇から身を守る時にこの比礼(古い言葉で布のこと)を振ったところ、毒蛇は退散し、事なきを得たと言うものです。
 
昔から蛇は怖いという印象もありますが、脱皮をする神秘性、あるいは蛇比礼の話から見るように、強力な厄除け、障り除けという意味があるのです。
 

この浴衣は三角形の部分が全て龍になっています。しかし、その龍の文様を一つ一つ観察すると、様々な龍があしらわれていると分かります。
 
龍の浴衣④
 
龍は、ブリとかハマチとかの出世魚と似ていて、成長段階で名前が変わります。また龍にも種類があります。
 
龍の浴衣②

これは良く見ると珍しい剣を持った龍。おそらく元の形は俱利伽羅龍(くりからりゅう)でしょう。不動明王が持っている剣のことですね。
 
龍の浴衣①

そしてちょっと珍しいのがこの龍のデザイン。

龍の形がまだ定まっていない感じです。

この龍、実は家紋の中にもあります。

雨龍

 
先ほど、出世魚のように名前が変わると言いましたが、これ実は龍の子供で「雨龍(あまりゅう)」と言います。

龍は水の性質を持つ神です。
 
雨龍とはこの水をイメージさせる姿になっているのです。龍の子供はまだ形が親ほど定まっていないということなのでしょう。


この浴衣を勧めたところ、お客様も気に入って頂けました。後日、この浴衣に合う織の変わった角帯、これがまた蜂比礼を思わせる配色で、鱗のようなパターンの織になっていました。
 
 
雪駄も印伝風の鱗文でお勧めさせて頂きました。
 
 
紅葉屋では、こんな感じの着物が好きで取り扱っております。


※蜂比礼(はちのひれ)・・・古事記に登場する謎の御神器。蛇比礼と対になる。大国主命が毒蜂に囲まれた時に用いた。


※紅葉屋呉服店はこちら

 

 

Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

◆振袖

来年ご成人されるお客様より振袖のご用命を承りました。

寛文振袖①

画像は売約済みの御振袖。お仕立てが出来ましたので納めさせて頂きました。ありがとうございます。

なかなか迫力のある振袖です。

この振袖、日本の着物史において各時代の良いとこどりをしている一枚です。



例えば色の使い方。黒に近いこげ茶と派手過ぎないエンジ色の染め分けとなっています。

これは桃山時代にあった染め分けの小袖に由来します。

桃山小袖

上の画像は桃山時代の物。こげ茶部分に金の縫い箔があります。これを振袖の場合はこげ茶部分に金彩を施してあります。

そして江戸期にあった桜の総柄の小袖がこちら。

桜小袖

この花びらに葉っぱをあしらった桜の柄を現代風にアレンジしてあります。

そして鶴が群れで飛んでいます。

寛文振袖②

これは群鶴文という文様。

群鶴図

尾形光琳で有名な琳派の絵などに見て取れます。


このように一言で古典と云われる着物には、実はオリジナル、参考になった作品が存在します。そのままでは中々難しい柄を、一枚の着物として修正し、職人さんが染めます。


今回ご縁のあった御振袖は、総柄に近い迫力あるものです。

人によって何をもって美しい、凄いというのは違いますが、紅葉屋では、紅葉屋の基準で美しいと思う着物をご提案します。

今ある帯を活かした着物選び、今ある着物を活かした帯選びなども承ります。



※紅葉屋呉服店はこちら







Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

◆ふくれ織 名古屋帯

当店で扱っている名古屋帯です。(売約済)


ふくれ織名古屋帯①


銀・金箔を用いたふくれ織とよばれる技法の名古屋帯です。

袋帯は正装、名古屋帯は略式などとざっくり分けて考えますが、それも柄によりけりかと思います。

画像のような名古屋帯は、今日ではなかなかお目にかかれないほど凝ったものです。

遊び着はもちろんですが、色・柄によっては訪問着でも行けます。


ふくれ織名古屋帯②


鳥の部分を拡大してみました。

明らかに日本の古典柄とは違います。日本の古い文様ではないのです。


実はこの帯の柄、インドの古い更紗の柄を名古屋帯にアレンジしたものです。

インド木綿2

奈良の正倉院にも繋がってきそうな柄です。このインド更紗は更紗の上に金粉の括りを施した金更紗の古布です。

インド木綿3

こちらもインドの金更紗。人物文です。王族か、あるいは仏教から引用された何かの昔話かもしれません。
 
更紗自体は染物ですが、これを日本の帯職人は織で再現したのです。


ふくれ織名古屋帯③


アレンジの仕方も派手過ぎず、渋過ぎず秀逸です。

今、このような名古屋帯は本当に見かけなくなりました。

名古屋帯は小紋と同様、思いっきり楽しんで良いと思います。

当店では、こんな感じの着物・帯を扱っております。

文化財復元小袖の紹介でした。


※紅葉屋呉服店はこちら





Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

◆大津絵 鬼の袋帯

当店で販売した袋帯のご紹介。

袋帯はどちらかというとフォーマル用ですが、中にはくだけた柄もあります。

画像は大津絵の鬼をモチーフにした袋帯です。

大変ユーモラスな図柄です。

鬼が柱によじ登っています。

大津絵の袋帯③


大津絵とは滋賀県に今なお残る民芸画。


大津絵

近江国追分を発祥の地とするもので、寛永年間(1624- 1644年)のころに仏画として描かれ始めました。当初は信仰の一環として描かれたものでしたが、やがて世俗画へと転じ、加えて18世紀ごろより教訓的・風刺的な道歌を伴うようになりました。


江戸時代を通じ、東海道大津宿の名物となります。
 
 
文化・文政期(1804- 1829年)には「大津絵十種」と呼ばれる代表的画題が確定し、一方で護符としての効能も唱えられるようにになったそうです。


幕末に最盛期を迎えますが、現在では衰退します。この頃になるとその画題もだいたい決まり、中でも鬼の画像は代表的なものです。


その大津画の鬼をモチーフにし、さらにアレンジしたのがこの袋帯の面白い所。実はこの帯、物語が隠されています。


帯として全体を見た時に分かることと、帯を締めた時に分かることがあるのです。

大津絵の袋帯②

例えば帯を締めた時の「たれ」の部分には柊尾(ひいらぎ)を加えた鼠が梯子を上っています。

今にも柱を駆け上りそうですが、この鼠を恐れて鬼が柱を登っているのです。

節分の風習で、玄関先にイワシの頭や、柊を取り付けることがありますが、この柊のトゲトゲが、鬼は苦手なのです。

帯を締めるとこんな感じになります。


大津絵の袋帯①


実際の帯は端から端まで緑色の柱が長く織られていますが、帯を締めると一気に鼠との距離が近付くのです。

ここまでは締めることで分かる図像となりますが、実は締めると分からなくなりますが、この帯には隠れる部分にも遊び心が施されています。


実際に締めてしまうと見えなくなるのがこちらの画像。

大津絵の袋帯④


雲にもみえるこの黄色のモヤモヤ。当初は雲かと思っていましたが、実はこれ鬼のパンツです。

柊を咥えた鼠が来たので、慌てて柱を登った際に、パンツが脱げてしまったのです。


一番最初の画像を見てもらうと分かりますが、鬼のお尻が丸出しになっているかと思います。


どうしても面白い画なので、そちらにばかり目が行ってしまいますが、織り方も大変手の込んだ鱗織です。

蛇の鱗のようになっています。

鱗文様や柊、鬼も実はすべて厄除けの柄なのです。


紅葉屋ではこんな着物・帯が好きで、浴衣から振袖まで多数揃えております。


文化財復元小袖のご紹介でした。


※紅葉屋呉服店はこちらまで

Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

◆紅型振袖

紅型の振袖です。(売約済)

柄の付け方が横方向になっている、古い様式に染めてあります。

紅型でも珍しい柄の付け方です。


紅型振袖①


紅型振袖②

当店では振袖のレンタルはしていませんが、文化財復元小袖の振袖も扱っています。



紅葉屋呉服店はこちら

Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

プロフィール

もみじ

Author:もみじ
名古屋市西区で着物屋を営んでいます。
主に着物(仕事)を通じた独り言です。

お着物のことなら何でもご相談下さいませ。

最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる