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◆伊万里に見る不思議。

今回は古伊万里についてのお話です。

専門的な細かい話は他に任せますが、気になったことがありました。

画像は江戸後期、志田窯と呼ばれる窯の古伊万里です。

亀の伊万里


志田窯はこのような吉祥の文様や、変わった図柄が多いです。

個人的には綺麗に画かれた細かい模様の古伊万里よりも、志田窯のような伸びやかで勢いのある線の画の方が好みです。

また、面白い絵の方が尚楽しいですね。


画像のものは亀に太陽という珍しい絵になっています。垂直に頭を立てているのも面白いですが、何より顔が良い。生きています。
 
 
ついつい見とれてしまいますが、この亀の古伊万里、足元に妙なものがありました。

亀の伊万里部分


・・・玉です。

観察するに、玉は水の中にあるようです。これが海なのか、それとも川なのかはこれだけでは分かりませんが、おそらく海かと思います。
 
 
古伊万里の絵皿はそれなりに勉強したり、実物をいくつも見てきましたが、水の中に玉があるのは記憶にありません。
 

「一体何だ?これは?」
 
 
と思った翌年、似たようなものが画かれた古伊万里の皿を見ました。
 
 
恵比寿伊万里①
 

恵比寿の古伊万里です。
 
 
恵比寿様は大黒様と対で祀られることが多い神さまです。大黒様は小槌を、恵比寿様は竿と鯛を手にしています。

この古伊万里は、恵比寿様が鯛を釣った瞬間のものです。

嬉しくて小躍りしているかのような恵比寿様。

対して「しまった!」と言っているかのような鯛の顔が秀逸です。

恵比寿伊万里②

見ていて楽しい一枚ですが、よく見たらこれにもあの謎の玉がありました。

恵比寿伊万里部分

亀の古伊万里でこれを発見した時は、呉須(ごす:藍色を出す鉱物)が垂れたのをごまかしたのかも?と考えましたが、二例目が出たと言う事は、あの玉は故意に画いたと言うことになります。
 
 
亀と恵比寿。違うものですがどちらも縁起が良いことと、玉が画かれたのは水の中という共通項があります。

恵比寿の場合は鯛を釣っているので完全に下は海です。
 
 
亀では海か川なのかはハッキリしませんでしたが、恵比寿の皿が出てきたことで玉は海水の中にあるということが分かりました。

海の中にある玉と言えば、古事記に出てくる海幸山幸の神話にある、海の潮の満ち引きを自在に操るという「塩満珠・塩乾珠」が筆頭として浮かびました。
 
 
この二枚の絵柄を観察するに、どちらも玉は画かなくても良い作品です。なくとも成立しています。

私は過去にこの皿とは違う、古伊万里の恵比寿と鯛の皿を見たことがありますが、それには足元に玉はありませんでした。
 
 
という事は恵比寿の図像に玉は必ずしも要らないということです。
 
 
この二枚の皿は同じ作者なのか?

それは自分が描いたというサインなのか?

あるいは何かしらの意味があるのか?

それとも誰かの注文で謎の玉を描いたのか?


考えれば考えるほど不思議です。
 

「不思議」という文字は「思っても議論してもいけない」と言う意味かと思います。

謎は謎のままそっとしておくのも良いかもしれません。



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Tag:古美術  comment:0 

◆鱗龍文浴衣 (男物)

男物の浴衣をご用命頂きました。ありがとうございます。

女性と比べると、どうしても種類では少なくなってしまう男物浴衣。

当店では予め出来上がっている浴衣もなくはないですが、反物を選んで頂いて仕立てる方をお勧めしています。

やはり、その人の寸法にあった物の方がしっくりくるからです。


小紋や浴衣は楽しんで選んでなんぼだと思いますが、そんな中でも紅葉屋の好み、紅葉屋の目線で美しい、力強いというものを浴衣でもご提案しています。
 

今回は、お客様が個性的な浴衣を探されていたので、お客様のご希望を聞きながら紅葉屋目線で浴衣を選ばさせて頂きました。

龍の浴衣③

黒地と言うか、濃紺と言うか、黒っぽい地色に渋い緑色の龍文の浴衣です。

只の龍文ではなく、三角形の龍です。三角が並んだ文様を鱗文と言いますが、これは厄除けを意味します。何の鱗と云われると諸説あるようですが私は蛇かと思います。
 

神道最大の謎と云われる御神器に十種神宝(とくさのかむたから)がありますが、その中に蛇比礼(おろちのひれ)というものがあります。古事記に登場する蛇比礼は大国主命が群がる毒蛇から身を守る時にこの比礼(古い言葉で布のこと)を振ったところ、毒蛇は退散し、事なきを得たと言うものです。
 
昔から蛇は怖いという印象もありますが、脱皮をする神秘性、あるいは蛇比礼の話から見るように、強力な厄除け、障り除けという意味があるのです。
 

この浴衣は三角形の部分が全て龍になっています。しかし、その龍の文様を一つ一つ観察すると、様々な龍があしらわれていると分かります。
 
龍の浴衣④
 
龍は、ブリとかハマチとかの出世魚と似ていて、成長段階で名前が変わります。また龍にも種類があります。
 
龍の浴衣②

これは良く見ると珍しい剣を持った龍。おそらく元の形は俱利伽羅龍(くりからりゅう)でしょう。不動明王が持っている剣のことですね。
 
龍の浴衣①

そしてちょっと珍しいのがこの龍のデザイン。

龍の形がまだ定まっていない感じです。

この龍、実は家紋の中にもあります。

雨龍

 
先ほど、出世魚のように名前が変わると言いましたが、これ実は龍の子供で「雨龍(あまりゅう)」と言います。

龍は水の性質を持つ神です。
 
雨龍とはこの水をイメージさせる姿になっているのです。龍の子供はまだ形が親ほど定まっていないということなのでしょう。


この浴衣を勧めたところ、お客様も気に入って頂けました。後日、この浴衣に合う織の変わった角帯、これがまた蜂比礼を思わせる配色で、鱗のようなパターンの織になっていました。
 
 
雪駄も印伝風の鱗文でお勧めさせて頂きました。
 
 
紅葉屋では、こんな感じの着物が好きで取り扱っております。


※蜂比礼(はちのひれ)・・・古事記に登場する謎の御神器。蛇比礼と対になる。大国主命が毒蜂に囲まれた時に用いた。


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Tag:文化財復元小袖(当店の着物)  comment:0 

◆暑い時期こそご注意

連日暑い気候が続きます。

人にとっても大変ですが、それは同時に着物にとっても大変なことです。

人は暑くなれば、エアコンをつけたり涼しい場所へ避難出来ますが、着物は自力では動けません。


私が小学生の頃、今から30数年前の夏、思い出してみるとテレビのニュースで「本日は真夏日です」と言うと、気温が30度とか31度でした。それでも暑いなと思っていましたが、現在の真夏日と言えば地域によっては40度を超えることもあります。

平均しても昔と比べて7,8度は上がっているのではないでしょうか。

そしてこの暑さをさらにしんどくさせるのが、湿気です。


日本の夏は高温多湿の季節です。


これは着物の保管においても十分気をつけねばなりません。着物を着る人でも冬物などは箪笥に入れっぱなしでしょうし、着ない人に至っては、そんなシーズンを何度繰り返しても、引き出しを開けたこともないという状況かと想像します。

あまりにも湿気が籠ると、着物にカビが生えることもあります。


紅葉屋では6月~9月頃までは着物を保管している箪笥、衣装ケースに乾燥剤を入れることをお勧めします。

乾燥剤

着物の保管の胆は除湿です。防虫剤に関してはそう神経質にならなくても良いかと思います。


絹の着物はあまり虫も好みませんし、防虫剤の併用によって事故が起こることもあるからです。


ひと昔前の着物は凝ったものも多いです。今となっては入手出来ないものもあります。着物の文化財になりうる物もありますが、着ないからという理由で箪笥に入れっぱなしになると、着物は傷みます。

この夏はぜひ乾燥剤を入れて下さいませ。


また、着物を保管する部屋は、その畳数に合った除湿器を入れることを推奨します。

除湿器

当店でも在庫を管理する部屋は、着物保護のため除湿器を入れておりますが、半日も経つと水が驚くほど溜まります。

また、高すぎる湿度は和装の草履などにもダメージを与えることがあります。

昨今の暑さは昔の人もビックリする程異常ですので、着物(大切な衣類)の湿気対策には十分ご注意下さい。


これをご覧の皆様も、熱中症にはお気をつけ下さいませ。



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Tag:着物保管  comment:0 

◆紳士色紋付

紳士物の色紋付着物を承りました。

紋が五つの着物と羽織です。

あらかじめ染まった反物の中には好みの色が無かったので、白生地(染まってない白い反物)を探し染めることになりました。

紳士もの白生地①

これから色は決めます。

羽織と着物なので二反必要になります。

紳士もの白生地②

白生地は正絹、国産の丹後ちりめんです。

しっかりした良い生地です。

紅葉屋では良い品をなるべくお値打ちになるようにご提案しております。


お客様のご要望に合わせながら、またその中で当店流にアドバイスしがてらお勧めさせて頂きます。

染め替え、仕立て直しなども承っております。



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Tag:着物  comment:0 

◆四ツ身友禅 お手入

これでしばらく着ないからということで、お子さん用の着物をお手入れしました。

ありがとうございます。

四身友禅②

十三参りで着たそうです。

これは以前当店にご用命頂いた時に、京都で染めました。良い染め物です。

四身友禅①

お客様のご要望により、様々なご提案に対応致します。


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Tag:お手入れ  comment:0 

◆八卦の盆

今回は茶道具関係のものをご紹介。
 
当店で販売しています。


丸いお盆で漆塗りのものです。直径は23センチあります。

八卦お盆螺鈿②

面白いのは縁に円を描くように八卦(はっけ)と呼ばれる装飾が施してあることです。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の八卦です。


八卦とは易(えき)学の用語。
 
 
陰爻(こう)と陽爻とを3本重ねることによって作られた8種類のパターンがあります。すなわち、
 
 
☰乾(けん),☱兌(だ),☲離(り),☳震(しん),☴巽(そん),☵坎(かん),☶艮(ごん),☷坤(こん)の八つです。
 
 
これらはそれぞれ,天,沢,火,雷,風,水,山,地を象徴します。


三国志に登場する諸葛孔明は、奇門遁甲という不思議な術を駆使しましたが、これにも八卦の図像は見て取れます。


やがてこのような思想(道教)は日本に入り、陰陽道になりました。
 
 
やがて茶道の中にも陰陽道は入り、この八卦の考え方も取り込まれました。


押切形部分②

例えばこちら。炭(火)があしらわれていますが、この炭をどけると・・・

押切形部分①

☵坎(かん)の形に灰に描かれています。☵は水を表します。火と水の関係です。これは陰陽となりますが、日本においては古事記にも火と水の力の関係が出てくるので、ひょっとしたらそれも含まれているのかもしれません。
 

因みにこの灰の形(中央が凹んでいる)を押切形というそうです。


私が住んでいる地域は古くは押切村と呼ばれていました。名古屋城下最大の謎、空白地域です。押切村はどうも陰陽師が多くし住んでいたと伝え聞いておりますので、案外この押切形という呼び名は、ここが発生かもしれません。
 
 
話を戻しましょう。このお盆、大変良く出来ていて螺鈿が施されています。貝の内側の光沢部分を薄く剥がし、貼り付けてあります。
 
八卦お盆螺鈿①
 
大き目のお盆ですので菓子器にはなりませんが、汲み出し盆にはピッタリですし、床の花器の下にこれを敷いてもいいでしょう。

八卦というアイデア次第では如何様にも使える模様ですから、面白い茶会になります。


八卦お盆溜塗②
  
他にも同寸で、漆の塗り方を変えたものもあります。

こちらは八卦の部分が赤い漆になっています。

八卦お盆溜塗①

大変面白いお盆です。紅葉屋ではこんなお盆も販売しております。


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Tag:茶道具・その他  comment:0 

プロフィール

もみじ

Author:もみじ
名古屋市西区で着物屋を営んでいます。
主に着物(仕事)を通じた独り言です。

お着物のことなら何でもご相談下さいませ。

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