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◆切支丹伊万里

一時とても流行っていた古伊万里。江戸期に有田で作られたと云う染付磁器です。

古伊万里については色々と紹介しているものもあるので、今回紅葉屋のブログで紹介するのは、珍しい切支丹の伝説が残る古伊万里皿です。

このお皿、洗礼の儀式に使われていたとの昔話が残っております。

蟹牡丹伊万里


古伊万里というのは、日常で使われていた雑器ですので、数を作りました。

故に画かれた絵も時間をあまりかけない、勢いのある職人の手慣れ感がありそこが魅力でもあります。

今日目にするものは、よくよく見れば細かな傷が見て取れます。これは使っていたからです。


しかし、画像の切支丹伊万里は擦れ・傷が皆無です。また絵も大変丁寧に画かれています。

お皿の縁も円ではなく、花のような切れ込みも施されています。


そこだけ見ても時間を掛けて作られた一枚だと思います。この絵は牡丹です。ではなぜこの牡丹が切支丹と関係があるのでしょうか?


まずこの花の部分に着目します。実はこの花の中には生き物が隠れているのです。お判りでしょうか?

蟹牡丹伊万里8


じーーっと眺めていると何かに気付かれないでしょうか?

蟹さん

そう、蟹なのです。牡丹の花全体が、蟹の姿になっているのです。これを「蟹牡丹」と言います。

着物に入れる家紋にも蟹牡丹はありますので、特に珍しいという文様でもありません。

では何故これが切支丹伊万里なのか?

それでは次に下の方に目を移してみましょう。

蟹牡丹伊万里6

この部分と・・・

蟹牡丹伊万里7

この部分に着目します。

この珊瑚のような、生姜のような柄は太湖石と呼ばれる岩の絵です。

蟹牡丹と太湖石という組み合わせは、ちょっと記憶にないほど珍しい組み合わせです。

この太湖石の文様は、主に中国の明・清代に造られた陶磁器にもよく目にします。穴の開いた石です。

しかし、この切支丹伊万里の太湖石は、よーく見ると穴の中に変わったものが画かれています。


それは「波」です。本来画かれることのない、小さな小さな波の模様が太湖石の穴の中に画かれているのです。

これはつまり、海から現れた蟹を表しているのです。


海から浮上する蟹・・・実はこれに因む昔話があります。日本に布教に訪れた聖人「フランシスコ・ザビエル」です。

ザビエル

ザビエルは日本で布教活動を行い、やがてインドへ向かう為、日本を後にします。

舟は暴風雨に会い、転覆しそうになりますがザビエルは十字架を海へ投げ祈りを捧げると暴風雨は治まり目的地に着くことが出来た。その後、海に落ちた十字架は何と蟹が見つけてザビエルに届けたというものです。


そう、この絵柄は分かる人にしか分からない、ザビエルの奇跡を主題としているのです。

ただ、十字架は画かれていません。それは隠れ切支丹にとって十字の印が見つかることは命に関わるからです。


表には無い十字架ですが、実はこの皿、更に十字架が隠されていました。

皿をひっくり返してみます。

蟹牡丹伊万里2

皿の中央には「角福」と呼ばれる染付の印がありますが、注意すべきは目跡です。

蟹牡丹伊万里4

目跡とは陶磁器を焼く際、地面と直接触れないよう、火が満遍なく通るように、小さな石をかまして焼きますが、焼成後はその石を取ります。その跡が目跡です。

この伊万里、目跡が五つありますが、中央の大きめの目跡が十字になっているのです。

蟹牡丹伊万里3

丁度蟹のある部分にあるのです。通常、目跡が十字になっているのはまず無いと思います。敢えてこのようにしたのでしょう。

古伊万里は雑器であるので、大量に作られましたが、この蟹牡丹の伊万里は大変丁寧に作られています。

大量に作られた物の一つではないように思えるのです。

何らかの意図があり、作られた一枚なのでは・・・?

伝切支丹伊万里の蟹牡丹のお皿でした。







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Author:もみじ
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